ASD(自閉スペクトラム症)は遺伝する。

発達障害について
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夫とは会員登録制の結婚相談所で知り合って結婚した。
当時、今ほどはマッチングアプリがメジャーでなく、まだまだ怪しい位置付けのころ。
堅実な出会いの場のひとつが結婚相談所だったように思う。
入会時はまずマッチングの為に自分のプロフィールを登録をするのだが、実に細かな情報まで提出しなければならない。
出身地、家族構成、学歴、勤め先、年収、身長、体重、健康状態などの
自分自身や家族のことから相手に希望する具体的な条件まで、
結婚するにあたって知っておくべき必要な情報を事前に登録する。
それに基づいてお互いがマッチングされ、その内容は相手にも開示されるようになっている。
必要な情報はあらかじめ分かっていた私たちは、知り合って1年経たずして結婚に至った。

結婚してから夫がASDだとわかった

普段は優しくて愛嬌がある夫の言動がおかしいと思い始めたのは、妊娠中のことだった。
一緒に暮らすようになったことで、相手の状況や感情を気にかけたり、想像して振る舞うことが出来ないところや、不利な状況に追い込まれた時やこだわりの領域に踏み込とキレる性格であること、一方的で偏った考え方をする部分が見えてきた。
やっかいなのは、夫は高学歴でまわりに評価されて育ったためか、プライドが高く自分が正しいという強い自信を持っていることだった。
傍から見たらおかしな理論やただの屁理屈であったとしても、
自分が正しいと信じて疑わない。
決して悪い人ではないのだけれど、日に日に夫に対する不信感は大きくなっていった。
夫の状態は現在だと自閉症スペクトラム(ASD)という言い方になるが、私が夫の状態に気づいた数年前はアスペルガー症候群と言われていた。
この障害の特性は、想定外の事態や初めてのことが極端に苦手なのだそう
今は割と平穏な日常が送れているのだが、結婚当初は初めてのライフイベントが立て続けに起こるため、アスペルガーの特性はより際立っていた。

妊娠・出産で夫から受けたトラウマ

中でも特に大変な思いをしたのが妊娠・出産だった。
妊娠中は車の振動がつらかく感じた私を「がんばれがんばれ」と言って遠出につれ出したり、臨月になっても家事を一切手伝うことがないなど、気遣いのない言動が多くあった。
臨月に入るころからお風呂掃除だけはどうしても出来なくて
「汚れに気づいたらこれを使って掃除してほしい、最低でも週に一回はやってほしい」
とお願いすると、本当に週に一回以上は掃除することは無かった。
相手が今どういう状況であるかを気にかけることが出来ないため、
状況に応じて立ち振る舞うのが苦手なのだ。
当時まだ夫の特性に気が付いていなかったため、率先して動こうとしない夫の言動全てが不可解で腹立たしかったが、これがまさにアスペルガーの特性だった。
出産直後は入院している病院に入り浸り、
自分が赤ちゃんにとっての一番になることで頭がいっぱいだった夫。
私の気が休まらないなんてことは考えられるはずもなく、毎日会社から直行してきて私の夕食中にお構いなしに赤ちゃんを見に来る。
夜は最終時間の22時まで病室に居座り、ミルクもオムツも私から奪うように自分がやりたがる。
朝も6時半に来て、会社が休みの土日は朝から晩まで居座って赤ちゃんのお世話(そんなに手が掛からないのに)。
夫がいる間、私は赤ちゃんに触れることができずに夫の世話。
これもアスペルガーの特性で、周りが見えなくなって一方的で偏った考え方からくる行動だ。
もちろん私が留守中、家の中は放置状態だった。
新生児は昼間もほとんどねているし、検査も多く母親と言えども一緒に過ごせる時間はわずか。夜、希望すれば赤ちゃんと一緒に寝ることが出来たが夫が断固として拒否。
危ないからナースステーションにあずけろ、と。
産まれたばかりの赤ちゃんにとって一番は母親と考えるのが一般的だが
赤ちゃんが夫のこだわりにロックオンされた。
父親である自分が一番でないと気が済まない、むき出しの敵対心とマウンティングをすさまじく感じた。
体を気遣ってくれることはなく、産後は私の事を産後鬱と決めつけ、意見がぶつかる度に精神疾患があるように扱われた。
生後数か月の息子の顔に赤いニキビのようなものが出た時も
夫は私に「母乳のせいだ」と言い放った。
我ながらよく離婚しなかったなと思う。
出産の大変さというのにまるで理解が無いし理解しようともしない。
一週間の入院期間の夫は今思い出しても腹立たしく、辛い気持ちがあふれてくる。
一生忘れることはないだろう。

ASDの人は心優しく素直でもある

出産後は子供からの繋がりでASDの人と多く会ったが、ASDの人は心優しく素直な人が多い。
夫も決して悪い人ではなく、素直で優しい部分もたくさんある。
発達障害の特性自体が遺伝による要素が大きい。
本人が最も影響を受けるであろう両親がそもそも、発達障害である可能性が高い。
そんな両親のもとで育てられるわけだから、子どもの頃に形成される人格や常識的な感覚の内容は世間一般とずれやすいのだと思う。。
本人の一般常識が世間一般とはズレていて、プラス発達障害の気質で新しいものを受け入れる柔軟な気質が欠けている場合、結婚してから相手とうまくやっていけるとは思えない。
もし、全ての事柄について世間一般的な考えとしの正解がはっきりしていたら、
夫は自分の考え方が自己都合によるものだったり、偏っていると認めることができるのかもしれない。
何ごとにおいても一般的で普通の考え方がわからなくなってきていた私は、夫と意見がぶつかるとたびたびネットで「世間一般的」な意見を検索するようになった。
そしてこの過程で初めてアスペルガー症候群というワードを知った。
夫と意見がぶつった事例にはアスペルガー症候群について書いてあるものが多く、その特性はまさしく夫そのものかと思うほどにぴったり当てはまっていた。
夫はアスペルガー症候群に間違いない、と確信した。
私はタイミングを見計らって出来る限り慎重に夫に話しを切り出し、チェックリストを見せて発達障害だと疑っていることを伝えた。
夫は素直に話を聞いてくれてチェックリストに目を通すと、ほとんど当てはまるといって素直に認めてくれた。
夫にとっても今までの人生に生きづらさがあったことは確かで、自分がアスペルガーであると考えることでつじつまが合い、納得がいくことが多い、という旨を話してくれた。

息子が大切で大好きだから共に生きることを選択した

なぜ、夫の親は特性に気づいてやれなかったのか?
ここ数年で明るみになってきた言葉ではあるが、自分の子どもが苦しんでいることを
どうやってでも突き詰めてあげようとはしなかったのか?と思わずにいられない。
結婚相談所で知り合って、健康についてなんら問題なしと書いていた夫。
愚痴になってしまうが、耳が遠いやら喘息やら重度のアレルギー性鼻炎持ちでであることを結婚してから知らされた。
自覚が無い発達障害はともかく、それ以外の症状は本人にとっては当たり前のことだったのか?
キレられそうなので本人には何も言っていないが、普通は健康欄に書くべき内容だろう。
これらの持病はほぼ年中症状があって医者にかかる頻度も多い上に、
遺伝的な要素があるので結婚するにあたってはかなり重要な項目なのは間違いない。
夫の両親は、夫と私の子供がASD自閉症であることは知っているが夫がそうだということまでは知らない。
遠方に住んでいて年に一回しか会わないし夫はもう今更告げる気はないのだろう。
私は物わかりよく何事も無いようにふるまっているが、この気持ちをは一生消化されることない。
とにかく、尊い息子が幸せに生きていける未来のことだけを考えて結婚生活を続けている。

誰が悪いと言えばキリが無いしこういったことは原因を突き止めようとすればするほど家庭は壊れていく。

私は自分の気持ちに蓋をして、夫とともに子供を支えていくことを選ぶことにした。

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